アートフェス「KG+」でのトークイベント「Maniac for Photographers サンエムカラー、印刷のほへと」レポート

 

前回の記事で紹介した「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭」「KG+」が、5月14日で会期終了となります。今回の記事では、サンエムカラーが関わった「トークイベント」「展覧会」「印刷物」を紹介します。

トークイベント「Maniac for Photographers サンエムカラー、印刷のほへと」レポート
・展覧会「Maniac for Photographers サンエムカラー、印刷のほへと」マーターポート公開
・「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭」「KG+」で、サンエムカラーが関わった展示の紹介



トークイベント「Maniac for Photographers サンエムカラー、印刷のほへと」レポート

「KG+」でのトークイベント「Maniac for Photographers サンエムカラー、印刷のほへと」が4月30日に開催されました。サンエムカラーとして初となるトークイベントです。

このトークイベントでは、サンエムカラーならではの写真印刷に関するマニアックな話題を提供して、参加者の方々とより良い作品が作れるように知識を共有することを目的としています。

登壇者は、サンエムカラーからはアートブックの印刷・製本を担当する木村浩、文化事業部マネージャー大畑政孝、そして司会としてKG+のアートディレクターでもあるグラフィックデザイナーの北原和規さん(UMMM)

トークイベントの会場となる、くろちく天正館本店2階では「KG+ PHOTOBOOK FAIR 2023」が開催中。こちらは国内20以上の出版社や書店がブースを並べて、出版物を販売するイベントです。ブックフェアから流れてくる方も集まり、写真印刷に興味のある方々によって、トークイベントの会場はほぼ満席になりました。



トークイベントの内容は下記になります。一般的な印刷会社と違い、美術に関連した印刷物を日々取り扱うサンエムカラーならではの印刷にこだわったトピックになります。

まずは「本当はRGBで入稿してほしい」という話題から。

基本的に印刷用のデータは、ディスプレイで表示するカラーモードのRGBから、印刷するためのカラーモードCMYKに変換します。変換の際に、色の変わる度合いが違ってきます。一旦CMYKに変換すると、もともとのデータに余力があっても伸びしろがなくなってしまいます。一度劣化したデータを元に戻すのはなかなか難しい。

一般的な印刷会社では写真家がデータをCMYKに変換をしてから入稿しますが、サンエムカラーの場合はできればRGBで入稿してほしいという考えがあります。

その理由は、サンエムカラーではジャンルごとの専門のレタッチャーによって、RGBからCMYKに変換することで元々あった色の魅力を劣化させずに調整しているからです。そういったカラースペース(色表現の広さ)を狭めさせたくないという理由があって、できればRGBで入稿してもらうことが嬉しいのです。

ここまで話を進めると、来場者から「写真家たちは、完成系のイメージをスクリーンで見ているが、家庭用のプリンターで紙に一旦出力した方が良いのか?」という質問が出てきました。

「ディスプレイの色の通りに印刷してくれという注文がありますが、 やはり紙にプリントされたものがあると作家さんの意図が入るので、イメージしやすいです」と大畑が返答。作品を印刷するには、作家さんとコミュニケーションを取って、本人の意図する方向を印刷会社側が理解することによって、より良い作品をつくることができるのです。

この後も写真印刷に関するマニアックな話題が続き、すべてのトピックは語れませんでしたが、登壇時間の一時間半が終了。当日は、KG+のInstagramのアカウントで動画が配信されました。アーカイブされていますので、続きが気になる方はご視聴ください。

トークイベント終了後は、サンエムカラーで印刷した作品を囲んで、これから写真集を作りたいという方の相談に乗るなど来場者の方々と交流する機会ができました。サンエムカラーはお堅いイメージがあるかもしれませんが、気軽に話しかけていただけましたら。

また機会があれば、トークイベントを開催していきたいと思います。もし印刷に関するトークイベントのご依頼があれば連絡いただけましたら幸いです。


展覧会「Maniac for Photographers サンエムカラー、印刷のほへと」マーターポート公開


今回の展覧会では、写真家8名の各作品の意図に合わせて、特殊な印刷を施しています。ご来場いただいていない方に、マーターポートを使って、オンラインで展示会場の雰囲気をお届けします。作品の前にある白い丸をクリックしたり、カーソルをグリグリといじってみてください。


マーターポートでは会場にいるかのようなヴァーチャルな体験ができますが、今回の作品は現場で見てもらうことで、印刷のこだわった質感が伝わると思います。作品本来の魅力を楽しむために、足を運んでみてください。会期終了まであと数日ですので、マニアックな写真印刷に興味がある方は必見です!

ちなみに会場内には、各作品の意図に合わせた印刷技法について解説したハンドアウトが設置されています。ハンドアウト自体の印刷もこだわっていますので、ご自由にお持ち帰りください。デザインは北原和規さんです。


出展作家:前端紗季金サジCMTK森千裕×金氏徹平)、浅田政志森山大道Roland Hagenberg麥生田兵吾Kikoh Matsuura

会期:2023年4月15日(土)〜5月14日(日)11:00〜18:30(休館日:月曜日)
会場:堀川御池ギャラリー2F パブリックスペース
住所:〒604-0052 京都府京都市中京区押油小路町 油小路通御池押油小路町238-1
地下鉄東西線「二条城前」駅2番出口から徒歩3分



「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭」「KG+」で、サンエムカラーが関わった展示の紹介

サンエムカラーでは、今回のフェスのパンフレットやハンドマップ、ポスター、そして出展作家の作品や図録、作品集を印刷しています。印刷ならではの質感を楽しむために、ぜひ会場でご覧ください。もしかしたらリストアップした作品以外にあるかもしれませんが、気付き次第、補足します……!

「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭」(ハンドマップ印刷)
「KG+」(図録、ハンドマップ、ポスター印刷)
シャロル・シャオ「Live Hard, Love Harder」(展示作品、写真集印刷)
ジョン・アイナーセン「Perception Beyond Borders」(図録2点印刷)
髙橋恭司「Void」(写真集印刷)
山内悠「自然 JINEN」(図録印刷)
横山隆平「CITY from the WIND / Rebellion and Freedom」(作品の殆どを印刷)


「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭」「KG+」では、トークイベント、展示、印刷でさまざまな関わり方ができました。これからも良い作品をつくっていきますので、印刷に関してお困りごとがありましたらご連絡ください。